【DVD】 血を吸うカメラ
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今日のホラーシーンの特質を過去にさかのぼると、ほぼストレートにこの作品に突き当たる。リアルがフレームの中にしか存在しないという今日的病をマイケル・パウエルは1960年に映像化していた。当時はまったく評価されなかった。
同じ年に製作された『サイコ』は殺人者の視点を映像テクニックに溶け込ませているが、この作品では殺人者自身がカメラを回している。いわばベタな設定である。しかし、鶴田法男監督や中田秀夫監督の作品に見られるように、90年代には『血を吸うカメラ』の設定の方がむしろ新鮮になっていた。
モイラ・シアラーの恐怖にゆがんだ顔が映される衝撃のクライマックス・シーンは『リング』に出てくる心霊写真の先駆。
(2003.12.21 written by 小池壮彦) |