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八王子の女性3人殺害事件について

written by 小池壮彦

 平成7年(1995)7月30日午後9時15分ごろ、東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で、アルバイトの女子高校生2名とパートの女性1名が何者かに拳銃で殺害された。被害者の1人は私が勤めていた高校の生徒だった。

 平成15年10月7日の警察発表によると、平成9年に大阪で起きた
「信用金庫強盗殺人未遂事件」で使われた銃弾の線条痕(せんじょうこん)が、ナンペイ事件の銃弾と酷似していることがわかった。ふたつの事件に同じ拳銃が使われたらしい。

 線条痕というのは、拳銃から発射された銃弾に残る傷跡である。拳銃の種類が同じでも、線条痕は異なる。同じ拳銃から発射された銃弾のみ、線条痕は一致する。そこで現在、大阪信金事件に関与した疑いのある男(73歳)の素性が重視されている。

 警察では慎重に取り調べを進めている。ふたつの事件で使われた拳銃が同じであっても、使った人物が同一とは限らないからである。しかし、いくつかの点で、取り調べ中の男が、スーパーナンペイ事件の犯人である可能性が浮上している。

 男は拳銃マニアであり、執着心から同じ拳銃を使いつづけることに不自然さはない。また男は昭和30年代に銀行強盗未遂事件を起こして逃亡中、職務質問に訪れた警察官を躊躇なく射殺している。しかも、2発めを頭に打ち込んでとどめをさしている。

 この警官射殺事件で男は長年服役し、出所後は八王子に住んでいた。スーパーナンペイ付近の地理に詳しく、至近距離から頭に発砲する手口も同じである。拳銃を使った他の事件への関与も疑われており、史上稀有の悪人と見られる。

 まだ事件は決着したわけではないが、スーパーナンペイ事件は、さまざまな意味で忘れがたい。私は亡くなった娘さんとは面識はないが、直接の教え子が被害にあったのと同じ次元でこのケースを見ている。今後も注意して捜査の推移を見守りたい。
(2003.11.15)
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