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【2005年・すぐれたTV番組大賞・選考過程】

◆平成17年の「すぐれたTV番組大賞」は下記選考委員の討議により決定しました。その討議記録の一部を公開します。

【すぐれたTV番組大賞選考委員】
キタ・ミキ/タケイ・ミキ/ジャクリーヌ草壁/大久保タランティーノ清/瀬戸内弱小/桃色ダイオード中村/ノーベル田中/サーヤ黒田
客員選考委員・小池壮彦


キタミキ:「今回は該当なしになりました。へたすると義経だったと思います」
大久保 :「へたするとショーケン激白Vだったと思う」
桃中村 :「すぐれCMはやずやかと思いましたが」
キタミキ:「やずやCMはむしろ大賞候補だったのです。ノミネート枠をあやまったのです」
桃中村 :「よくわかんない話ですね」
瀬戸内 :「小池さんは義経ですか?」
キタミキ:「義経柳生十兵衛七番勝負世直し順庵だろうということでした。しかし大賞となると・・・」
桃中村 :「滝沢くんは不思議な役者であるという仮説について」
サ黒田 :「バラエティで見てると単に芸のない兄ちゃんだが」
キタミキ:「時代劇になると妙な魅力を発揮しますね。あの虚無感は演技力ではなくて」
ジ草壁 :「天然かもしれない。中身がないからそのまま空虚な感じを漂わせて・・・」
キタミキ:「常に不幸を背負ったような二枚目ができあがる」
ジ草壁 :「義経ではちゃんと義経になり今年の里見八犬伝でもちゃんと犬塚信乃になっていた」
キタミキ:「いずれ眠狂四郎をやれるという仮説について」
大久保 :「ほめすぎだと思う」

瀬戸内 :「いや、あり得ます。殺陣もかっこいいし」
大久保 :「話題をかえる。大晦日のアケボノについて」
キタミキ:「前田日明によると、あれはアケボノの無言の抗議だそうです」
タケイ :「タレント相手に本気になれるわけないという」
大久保 :「だがアケボノは試合後に立っていられないほど疲れていた」
ジ草壁 :「NHKスペシャルの多田富雄のドキュメンタリーが候補に上がってない件について」
キタミキ:「脳梗塞からの“再生”〜免疫学者・多田富雄の闘いですね」
大久保 :「大島渚の壮絶な闘いなんかを見ちゃってるしね。あくまで番組として見た場合どうかと」
ジ草壁 :「このケースを取り上げるとキリのない話になるのは確かね」
瀬戸内 :「今年に期待しましょう」
大久保 :「新選組!!〜土方歳三 最期の一日は予想よりよかった。あの脚本家もやればできるんだな」
ノ田中 :「榎本と延々と語ってるシーンでしょ。あそこは・・・」
キタミキ:「それは今年の番組ですから・・・いちおう今年の候補にしときましょう」
ノ田中 :「大賞というほどではない。義経がとれないのに新撰組の大賞はない」
タケイ :「まだわかりませんよ」
大久保 :「話題がないね」
タケイ :「該当作がないからです」
キタミキ :「ではまた来年、お目にかかりましょう!」
大久保 :「来年もこの企画があればね」


12/18 NHK
 NHKスペシャル「自殺を減らしたい〜救急救命センター・精神科医の模索
 ・・・自殺者が7年連続、年間3万人を超えるというのは、もはや異常事態という域を超えている。
    この番組は岩手県盛岡市の岩手医科大学付属病院に毎日のように運ばれる自殺を図った人の状況と治療の模様を追ったもので、
    自殺未遂者の絶望と孤独、それに向き合う医師の姿を描いたドキュメンタリーとして秀逸ではあったが、
    この問題はもはや医療の現場の問題として捉えるだけでは足りない。政治の問題であることを見据えなければならない。
    事業に失敗する、あるいは失敗させられる、そして立ち直れないという状況を作ったのは現政府による二極化政策である。
    事は貸し剥がしが盛んに行なわれた前世紀末から今日まで続いているのであって、そこにメスを入れられないのが体制メディアの限界である。

10/17〜12/12 テレビ朝日
 世直し順庵−人情剣−
 ・・・必殺仕事人の新バージョン。番組開始45分後にサビの仕事人シーン。

12/3 テレビ朝日
 山田太一ドラマスペシャル終戦60年特別企画「終りに見た街」
 ・・・23年前にNHKでやったのを見ましたが、2005年バージョンもストーリーは同じでした(原作が同じなので)。
    これラストの意味がわからんという人もいますが、子供が初めて見てトラウマになればそれでいいんだろうと思います。
    ちなみに23年前のドラマでは、東京の高層ビルとかの風景はやってないので、ラストの意味は明確でした。
    高層ビルとか出してしまったら、なんでいままでソレに気づかないんだ?という疑問が出るじゃありませんか。
    その点はいまどきの作り手ですから、もとより期待してもしょうがないので勘弁してあげてくださいね。
    しかし時代考証はわりとよくやっていたと思います。あんな将校はいませんが、風景とか食堂のせわしさとかはあんな風でしたね。

9/30 各局報道
 タクシー内から撮ったゾンビの群れ
 ・・・阪神優勝の騒ぎでタクシーが破壊された。
    車内のカメラがとらえたのは史上初めて記録されたゾンビの実写映像だった。

9/25 NHK
 特集 あの日 昭和20年の記憶
 ・・・BS放送のシリーズを再構成したもの。
    終戦の日の記憶を各界著名人が語り、当時の状況を再現するドキュメンタリー。
    現代の我々が気をつけなければいけないのは、戦時中に子供だった人の記憶を安易に信じてしまうこと。
    当時子供だった人は精神が未成熟のうちに価値観の変転を経験したことから戦後に左傾化した人が多い。
    そのため事実をゆがめて話す場合があり、いたずらに反国家的な感想をつらねるケースがある。
    またこれは当時軍人だった人にもいえることで、特攻隊の生き残りが特攻隊を悪くいうケースがあるのは周知である。
    したがってこの番組も注意して見る必要があったが、話者は概ね自らの体験を正確に述べることに心を砕いていると見えた。
    とりわけ終戦時に大人だった人の体験談は具体的で芝居がなく、耳を傾けるべき話が多かった。

9/24 NHK
 NHKスペシャル「ひとり 団地の一室で」
 ・・・全国各地の団地で相次いでいる"孤独死"の実例をある団地のケースから追う。
    高度成長時代の夢が崩壊した現在の日本の現実を映し出した秀逸なドキュメンタリー。

8/20 NHK
 NHKスペシャル「ウォータークライシス 水は誰のものか?」第1回 狙われる水道水
 ・・・世界各地で公営水道の民営化が進められているが、見事に失敗しているのである。
    自由競争によって安くて安全な水が供給されると思いきや、民営ゆえに国際企業買収の連鎖を呼び、
    フィリピンでは水道料金が以前の4倍に跳ね上がった。そこで水を盗む「盗水」が多発。大きな社会問題となっている。
    またアメリカでも民営化によって水道料金は高くなり、やはり国際企業買収の影響で地域サービスは悪くなった。
    その結果、いまや水道会社を民営から公営に戻す動きが始まっている。
    日本では民営化による自由競争がよいと首相がいっているが、アメリカにもこういう例があることは知っておいていい。
    かつて水野忠邦が独占株組織を解体して経済の自由化政策を推進したが、かえって流通システムが混乱し改革は失敗している。
    現在の首相は「民間にできることは民間に」としかいっていないが、天保時代の水野でさえもう少し具体的なことをいっていた。
    それは余談だが、いまNHKがこういう番組をやったことは評価しなければならない。

8/13 フジテレビ
 実録・小野田少尉 遅すぎた帰還
 ・・・予想よりよくできていた。名優も起用されて、見ごたえがあった。
    変なアイドルが出てぶち壊していないか心配だったが、それはなかった。
    リアリティのないクリアな映像でやるのではないかと心配だったが、それもなかった。
    妙な反戦ドラマにするのではないかという心配もあったが、それも回避されていたといえる。
    帰国時の再現は実写を使うと予想していたし、それを望んでもいたが、
    実写の衝撃度に頼ることなく劇として貫徹させたのはドラマ制作の見識の高さと見た。
    しかし帰国後の小野田をめぐる複雑な状況を再現するのは、やはり困難だったと思う。

8/10 日本テレビ
 新・あなたの知らない世界 「戦慄の殺人現場!被害者の霊が呼ぶ!?」
 ・・・戦後最大級の亡霊事件、秩父貯水槽殺人事件の心霊ドキュメンタリー。
    ナビゲーターに小池壮彦氏。70年代ばりのハードなつくりだった。
    カーナビ事件はミリオンムック「怪奇巡礼DVD」で反響を呼んだコンテンツだが、
    日本テレビの徹底検証でその真実性が証明された形だ。

8/9 各局
 日本交通CM
 ・・・というか、トキハイの「手紙」だけなんだけどね。
   ここから試聴できます

8/9 各局
 やずやCM 雪待にんにく卵黄物語 第六話 丸揚編
 ・・・「コレも食べなさい」「やだよ、臭いから」「せっかくユウキちゃんが作ってくれたのに・・・」
    続きもののCMだが、第六話だけ見た人は衝撃を受けるだろう。
    ユウキの複雑な表情。
   ここからCM見られます

8/7 NHK
 終戦60年企画 「ZONE・核と人間」
 ・・・広島の訴えが国際的に伝わらないのは歴史観の問題だと平岡敬が述べたが、それは違うだろう。
    おそらく核の特殊性が一般に充分伝わっていないことに原因がある。
    そこには否応なく政治の問題も入ってくる。すると日常の言葉も文学の言葉も無力になる。
    ZONEという違和感のある言葉をタイトルにしたこの番組の結論も、結局は原民喜の絶望でしかなかった。

8/6 NHK
 終戦60年企画 「被爆者 命の記録 〜放射線と闘う人々の60年〜」
 ・・・原爆の被害は爆風と熱線と放射線による。
    放射線被曝の実態を扱わないと、なぜ原爆の悲惨さが強調されるのかが理解されない。
    火傷だけなら近所の火事の犠牲者も充分悲惨だ。溶けた弁当箱なら東京大空襲の現場にも落ちていた。
    この番組は放射線被曝の特殊性に焦点を絞って検証した点が有益だった。
    被曝の問題は戦後60年たってようやく明らかになってきたことも少なくない。
    熱線による被害だけが強調されるきらいのある原爆番組が多い中で貴重な番組だった。

7/18 テレビ東京
 ザ・決断!あの一瞬!戦後60年特別企画「聖断〜昭和天皇、終戦への軌跡〜」
 ・・・松方弘樹の鈴木貫太郎は予想より良かった。本田博太郎の昭和天皇は少しハラハラした。
    御聖断の泣きのシーンで、急に番組が終わったのが拍子抜けだった。もう少し余韻があってもよかった。

5/3 各局報道
 静岡県警ヘリ墜落映像
 ・・・現場近くの杉浦美幸さんがホームビデオで撮影したヘリ炎上映像。
    ニュースでは途中からしか放映しないが、炎上前からのヘリの様子を撮影したロングバージョンがある。
    住民が遺体を確認しようしたら突然火が上がる模様などをつぶさにとらえている。

4/9〜 NHK
 新日本紀行ふたたび
 ・・・昭和38年から57年まで放映された「新日本紀行」。あの番組でかつて取材した土地を再び訪ねる映像詩。
    1回目は北海道帯広市の「幸福駅」をめぐる家族のドキュメンタリー。
    昭和48年に「新日本紀行」で紹介しブームになった幸福駅だが、 当時取材した土地の人々はいまどうしているのかを追う内容。
    過去の番組では嫁いでいく娘さんの映像がクライマックスだったが、その娘さんが32年後のいまどうしているかという展開が今回もクライマックス。
    少々あざとい演出だし、過去の優秀なスタッフの遺産に頼りすぎの感もあるが、それはそれとして美しい映像だったのも確か。
    琵琶奏者の坂田美子が「新日本紀行」のテーマ(富田勲作曲)に歌詞をつけて歌っている。
    冒頭で歌が流れたときは鳥肌がたった。

4/1〜5/7 NHK
 柳生十兵衛七番勝負
 ・・・昨今めずらしい本格時代劇。
    武士のさだめを描いて秀逸。

3/21〜25 NHK
 プロ野球新時代へ 「熱球の伝説」
 ・・・昨年に衛星放送でやってたシリーズ。
    こういう番組を地上波で流さないのがNHKのセコイところだがようやく放送した。
    ふつう江夏の401奪三振とバッキー乱闘事件は別々に語られるが、 2つの出来事は同じ昭和43年のシーズンに起きている。
    驚異的な速球で巨人の連覇をおびやかしたのが江夏なら、結局阪神が優勝できなかったのも江夏が打ち込まれたためだった。
    その全体像を描いたドキュメントはいままでになく、めずらしいフィルムも公開されて斬新な番組になった。
    しかし、やはりバッキー乱闘事件は江夏のドキュメントに挿入するだけのエピソードとしては、あまりにも大きなトピックである。
   優勝をかけた巨人VS阪神の死闘をクライマックスとした昭和43年シーズンの全体を描くドキュメントが見たかった。
   

3/15 各局
 トヨタホームCM 父の想い、娘の気持ち編
 ・・・昨年のCM賞受賞作の新作。そう来たか、という感じです。
    父の一言だけで、どういう状況かを視聴者に悟らせる。
    これに匹敵する作品があるとすれば、
    かつてマルチェロ・マストロヤンニが出演したバルカンのCMシリーズぐらいでしょうか。
    ここからCM見られます

2/8 日本テレビ
 ショーケン逮捕直前激白V
 ・・・番組じゃないけど 特別賞候補。
    久々にショーケンらしさ発揮。大河ドラマに出たあたりから丸くなったイメージがあったので、今回の「らしさ」はホッとした。
    激白Vはそれなりに計算されたもので、いってみればプロモーションビデオ。
    ショーケンが本気出したらあんなもんじゃないよ。

2/6 NHK
 大河ドラマ「義経
 ・・・義経VS弁慶の演出見事。しかし円月殺法時のタッキーのマバタキはNG。
    第1回の一の谷の逆落としのシーンで、タッキーの「参る!」は演出つける前の自然な演技の方がいいので今から撮り直せ。
    ベテラン脇役はすべて期待通り。名優北村の息子は案外使えるかもしれん。薬だけはやるなよ。
    去年の脚本・音楽・配役がひどすぎたせいもあるが、ともあれ大河ドラマが帰ってきた。

1/15 NHK
 そして歌は誕生した−名曲のかげに秘められた物語−第十八集
 ・・・「箱根八里の半次郎」、「浪花節だよ人生は」、「涙そうそう」の3曲を紹介。
    すでに定評ある番組。初期のころのインパクトはないが、「涙そうそう」で知りたかったことがわかった。
    つまり3通りの「涙そうそう」がある。夏川りみと森山良子とBEGIN。作曲者の歌はブルージーで作詞者の歌はいい意味で辛気臭い。
    それぞれ特色がありながら、夏川りみの歌が一番心に響くのはなぜかという疑問がこの番組で解けた。
    やはり森山の辛気臭さはもともと私小説的な歌だったことによる。夏川はそれを咀嚼し普遍化したのである。
    その裏事情が番組で明かされた。作り手の意思がここまでバランスよく融合した楽曲もめずらしい。

1/6 テレビ朝日
 
超能力者クロワゼット 透視で水死体を発見…女児不明事件を大解決視聴率30・5%…伝説映像初公開
  ・・・ある意味切り札を出してしまった感もあります。アンビリにぶつけなくてもいいと思う。(・・・ぶつけないと意味ないか)


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