【2006年・すぐれたTV番組大賞・選考過程】
◆平成18年の「すぐれたTV番組大賞」は下記選考委員の討議により決定しました。その討議記録の一部を公開します。
【すぐれたTV番組大賞選考委員】
キタ・ミキ/タケイ・ミキ/ジャクリーヌ草壁/大久保タランティーノ清/瀬戸内弱小/桃色ダイオード中村/ノーベル田中/サーヤ黒田
客員選考委員・小池壮彦
キタミキ:「長引きましたね。この企画を変更するかどうか」
大久保 :「ベスト10方式の方がいいと思ったが、10個もないんだよなベストが」
桃中村 :「まあ結局継続ということで。そこで大賞のちい散歩ですが、これに決まった経緯は?」
キタミキ:「経緯はないです。普通にこれだろうということです」
瀬戸内 :「この番組はだんだん進化してますよね。昭和の景色を訪ねるという風に」
ジ草壁 :「働くおじさんみたいになってます。知ってますか? 働くおじさん」
桃中村 :「昔3チャンネルでやっていた番組です」
サ黒田 :「テレビはあれでいいんですよ。見ていて楽しいでしょ。しかも立派なドキュメンタリーですよ」
瀬戸内 :「小池さんは柳生十兵衛七番勝負ですか?」
キタミキ:「ちい散歩か柳生十兵衛七番勝負だろうということでした」
桃中村 :「柳生十兵衛七番勝負が近年稀な時代劇であることは認めます」
サ黒田 :「風林火山はけっこういいですよ」
キタミキ:「それは今年の話ですから」
サ黒田 :「去年の話はもう終わりですよ。要するにちい散歩だということ」
キタミキ:「ちい散歩のどの街がよかったですか? 私は四谷。再放送しただけあって」
ジ草壁 :「秋葉原も面白かったですよ。古い職人とメイド喫茶との対比」
キタミキ:「昭和の風景を追うテーマが鮮明になったのは秋葉原ぐらいからですね」
大久保 :「ちいさんだんだんずうずうしくなってるんだよな」
瀬戸内 :「はじめは恐縮しながら街の人に挨拶してたけど、だんだん慣れてきたのよ」
大久保 :「ちいさん豆腐が好きなんだよな」
キタミキ:「鶯谷のときもおいしそうだったね」
サ黒田 :「風林火山はけっこういいですよ」
大久保 :「亀治郎いいね。あと松井誠」
ジ草壁 :「時代劇のできる人をそろえましたよね。そこはかなり評価してる」
瀬戸内 :「ただ大河ドラマっていつも4月ぐらいからダレるのよ。そこを乗り切れるかどうか」
キタミキ:「それは今年の話ですから」
【2006年・すぐれたTV番組大賞候補作】
◆平成18年大賞は、平成19年1月に選考の上、1作が選ばれます。
◆大賞以外に部門賞・特別賞その他が推薦される場合もあります。
12/22 フジテレビ
DのゲキジョーSP!日本5大尼僧緊急集結悩めるアナタを救う!!
・・・戦略的に支持する。
11/12 NHK
NHKスペシャル「マスクの向こうの“ベースボール”」
・・・城島がボンズを料理したくだりは以前にニュースでやっていたが、 この番組はそれ以外の要素も含めたドキュメンタリー。
欠点は大リーグ選手の個人主義を特別視しすぎていること。以前の日本野球でもそれはめずらしくなかったことを忘れている。
ダイエー時代に工藤が、城島のサインでは打たれることを知りながら、首を振らずにサイン通り投げて打たれたことがある。黙って敗戦投手となった。
城島が工藤の深謀遠慮を知ったのは一流の捕手になってからだという。この衝撃的なエピソードが、この番組では充分に生きていない。
若き城島を育てようとした工藤の状況と、すでに一流捕手である城島を相手にする大リーグの投手の状況を重ねることはできない。
これは日米の考え方の違いではなく、城島をめぐる状況の変化にすぎない。そこのところを番組スタッフはどう考えているのか?
マリナーズのモイヤーはもちろん城島のサイン通りには投げない。モイヤーはあんな弱小球団でコントロールのみを武器に205勝している。
日本でいえば東尾クラスだろう。そのモイヤーが 内角の球を何度も大ファールされたことを城島が危惧して外角を要求するが、モイヤーはうそぶく。
「あの球はファールにしかならないのさ」。負け惜しみではない。 かつて江夏も日本シリーズの投球で同じセリフを言ったことがある。
江夏・東尾クラスのモイヤーが城島のサインを受け入れないのは当然である。一流の捕手が知らないことを超一流の投手が知っていただけだ。
城島の世代は日本で超一流の投手に出会っていない。全盛期の野茂でも城島のサインにはおとなしく従わなかっただろう。
しかしいまの大リーグに江夏・東尾クラスの投手が多いわけでもない。
戦略的には大リーグより日本のほうがすでに上である。
ヘルナンデスのようにそれに気づきながら認めず、そのくせ城島の戦略に丸め込まれているというのが大リーグの平均値だろう。
このドキュメンタリーは日米の野球の違いを描いたつもりだろうが、結果的には超一流の日本野球を知らない城島の悪戦苦闘を描くことになった。
大リーグで初めて城島は江夏・東尾クラスの投手に出会った。日本プロ野球の超一流史をやらないとこの番組は補完されない。
10/20〜 テレビ東京
逃れ者 おりん
・・・なんだこれは! 時代は江戸時代中期。9代将軍家重の御世。
12歳で父を殺され母も失踪したおりん(青山倫子)は暗殺組織「手鎖人」の一員として育てられ、
すべては将軍様を守るためと信じて活動を続けたが、 ある日自分を育てた植村道悦(榎木孝明)が幕府転覆計画の首謀者であることを知る。
組織から逃亡したおりんは以後、裏切り者として植村道悦の放つ刺客と死闘を繰り広げるのである。
水戸黄門や暴れん坊将軍でどこからともなく出てくる忍びの物語が独立した趣のニューウェイブ時代劇。
必殺仕置き人と子連れ狼とあずみを混ぜてジューサーにかけてから新聞紙でろ過して
まずいから捨てたものを拾って水を入れ、
木枯らし紋次郎とはなれ瞽女おりんを混ぜてチクロで味をつけたら案外飲めたという感じ。
青山倫子がビミョーにゾクゾクする(たぶんみんなそう思っているはず)。この番組はダークホースです。
6/1〜8/31 NHK
次郎長 背負い富士
・・・これ正直いって期待していなかったが、おもしろかった。
7/25〜9/5 テレビ朝日
新・桃太郎侍
・・・予告編を見て高嶋政宏が危ない桃太郎侍を演じている気配があったので期待して見たが、もっと危ないやつでやってくれ。
あまり錯乱すると殺陣の前のストーリーが成り立たないかもしれないが、もっと危ないやつの演技をやってくれ。
4/3〜 テレビ朝日
ちい散歩
・・・この番組、4月からずって見ていますが、 なぜ見はじめたかというと、暴れん坊将軍の前にやっていたからです。
地井武男が東京のあちこちを散歩する番組ですが、 知っているはずの場所にもあらたな発見があっておもしろいです。
麻布十番を散歩していて志村けんが出てきたのは笑いました。
すでにうちの近くにも散歩に来ているのですが、今後さらに近くに来そうです。
7/23 NHK
NHKスペシャル「ワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない〜」
・・・「ワーキングプア」とかこの手の横文字式レッテルには抵抗があるが、要するに働いても貧困から抜けられない人のこと。
現在、生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯の約10分の1。400万世帯以上といわれるが明確な数値は不明。
景気が回復したといわれる中で貧富の二極化が進んでいる実態に目を向けた番組として評価できるが、
働く貧困層とマネーゲームに興じる連中を対比させるのは、この手の番組にありがちな情報操作。この番組も例外ではなかった。
マネーゲームに興じる連中が何をしようが、そんなことは一般の生活者には何の関係もないのである。
問題は大企業の大儲けぶりと雇用者報酬の低減なのだ。国は最高税率を引き下げ、法人税率を引き下げ、一方で定率減税は廃止した。
そして消費税は引き上げようとしている。金持ちに甘く貧乏人に酷であれば、所得格差が広がるのはあたりまえではないか。
要はこの国の政策がおかしいのである。しかし政策がおかしいことにすら気づかない連中が小泉政権を支持したりしている。
そして自民党総裁選を競馬予想と同じ次元で報じるマスコミの知能指数の低さという問題がある。そういう視点はこの番組にもなかった。
4/6〜5/18 NHK
柳生十兵衛七番勝負
・・・昨今めずらしい本格時代劇。昨年の続編。
武士のさだめを描いて秀逸。前回に続いて暗闇の殺陣が凄かった。
4/2〜4 NHK
NHKスペシャル「ドキュメント北朝鮮」
・・・新事実を明らかにしたのはNHKの本領発揮。特に第1集「個人崇拝への道」。
ソ連軍の下っ端にすぎなかった金日成を北の指導者にまつりあげたはいいが、
その後に金日成にいいようにされながら手を打てないソ連のだらしなさ。
世界から嫌悪されざるを得ない朝鮮民族の悪質性も暴露された。
それにしても、いまこんな番組をやるからにはそれなりに政治的なもくろみがあるのだろう。
第3集で出てきた元朝鮮人民軍の顔出しNGインタビューなんか胡散臭さプンプン。
金親子の秘密を知るキーマンがなんでそろいもそろってこの番組に協力したのか・・・。
3/21 各局
ぱちんこ 冬のソナタCM
・・・テレビで音楽が流れるたびに延髄を切られるという問い合わせ殺到につき候補認定されました。
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1/15 日本テレビ
NNNドキュメント'06「ニッポン“貧困社会”生活保護は助けない」
・・・年収300万未満の世帯=日本人の3割。貯蓄ゼロ=二人以上世帯の22.8%。
貧困層に転落する人々が増え続けている。生活保護受給者の数も増大中だ。
特にいま社会保障研究者が問題視するのは、ホームレスのように「目に見える貧困」ではなく老人や母子家庭などの「見えない貧困」だ。
所得格差が急速に進む日本では貧乏人の子供は貧乏人に…という“貧困の再生産”が起きている。
最近起きた餓死・衰弱死事件の背景を追いながら、生活保護制度の周辺で見えない貧困が拡大する現状を描く。
という番組だが、いまさら感が強い。いまやるべき番組なので評価したいが、もう遅いという感じもある。
この事態は少なくとも5年前から予測されていた。そしてこの5年間何の手も打たれず、むしろ悪化させる力が働いた。
この間にわだかまった怨念は膨大なものである。浄化することは誰にもできない。これは恐ろしいことである。
*この番組に関して以下の報道がありました。
高松市:日本テレビに抗議文
高松市は8日、日本テレビ制作のドキュメンタリー番組「NNNドキュメント’06 ニッポン貧困社会〜生活保護は助けない〜」で
市の生活保護行政をわい曲して放送され、信用を失墜させられたなどとして、同社に訂正放送などを求める抗議文を送付し、今月中に回答を求めた。
番組は今年1月16日に放送。市は「市議が同行すると職員の態度がひょう変し生活保護がおりた」など、「事実に反するナレーションがあった」と抗議。
野宿者の受給などに関し市福祉事務所は取材を受けておらず、事実確認を怠っている、などと指摘した。【内田達也】
日本テレビ総合広報部の話 放送内容に関しては自信を持っている。抗議文が届き次第、対応させていただく。
毎日新聞 2006年2月8日 22時45分 (最終更新時間 2月8日 22時46分)
1/15 NHK
NHKスペシャル「女子フィギィア“レベル4”への挑戦」
・・・スポーツマスコミは肝心なことを何も伝えないが、浅田真央がなぜ優勝できたのかこれを見てわかった。
2004年世界選手権優勝の荒川静香が引退を口にしていた理由は他にもあるのかもしれないが、
これを見てなるほどと思った。
1/14 NHK
にっぽん再発見 九州沖縄スペシャル「心ひとつに」−宮崎・江平小学校吹奏楽部・半年の挑戦−
・・・昨年11月13日に九州沖縄地区で放映された番組で1月14日に全国放送された。
宮崎県・高崎町立江平小学校の吹奏楽部の子供たちが、20年ぶり2回目の全国大会出場をめざし、猛特訓を続ける姿を追ったドキュメンタリー。
自分の練習と下級生の指導との狭間で悩む6年生の男子の礼儀正しくひたむきな態度が好ましく、
一方、姉や先生に勧められて無邪気に入部した男子が、はじめ姉しか頼る人がなく不安だったがしだいに成長してたくましい顔つきになる。
昨年8月に開かれた九州大会では全国大会出場を逃したが、最後のチャンスとなる10月中旬の大会ではついに全国大会出場を決める。
その出来すぎた展開がなんら不自然ではなかった。
1/3 NHK
新選組!!〜土方歳三 最期の一日
・・・土方と榎本の掛け合いは見応えがあった。
1/2〜3 TBS
里見八犬伝
・・・中国臭が気になったが予想よりよくできていた。